海運業向け会計システム
「TRANS-Account」導入事例インタビュー
in Singapore


異なるベンダーのシステムを連携させ海運業ERPを構築

Tokyo Marine Asia Pte Ltd
Manager
Group Planning & Management Department
Administration Division  茂見 謙次 氏

 Tokyo Marine Asia Pte Ltd(本社:シンガポール)はJo Tankers A/S(本社:ノルウェー)と共同出資し、プール会社であるMilestone Chemical Tankers Pte. Ltd.を2013年9月に設立した。Milestone社のケミカル船のステンレスタンク総容量は現在世界3位。同社では世界のほぼすべての航路に配船する態勢を整え、多様化する顧客の要望に対応している。同社では会計システムとして「TRANS-Account」、運航管理システムとして「IMOS」を同時に導入した。導入プロジェクトリーダーであったTokyo Marine Asia Pte LtdのManagerである茂見 謙次氏にそのポイントを聞いた。

採用の決め手はサポート力と海運業務の理解力

――会計システム「TRANS-Account」を採用した理由を教えて下さい。

茂見■  まずは、ワールドワイドに運航管理するシステムとしてVESON社のIMOSの採用を決定しました。しかし、運航業務以外のコーポレート取引もあるなかIMOS が持つ会計モジュールだけでは全ての取引を会計処理することは難しいと判断しました。そこでIMOSとの連動で実績があり、日本国内の海運会社に多数の導入実績があるTRANS-Accountが候補に挙がりました。
 当時、限られた期間でシステム導入を進める必要がありました。採用の大きな決め手となったのは、会計システムの機能もさることながら、既にエイ・アイ・エス社がシンガポールにもサポート拠点を持ち、英語・日本語の両方でサポート可能な体制を整えていたこと、また海運業の業態を理解している担当者がおり、当社要件をイチから説明する必要がなかった点でした。シンガポールを中心に会計システムを利用するわれわれのような海運会社としては、正にマッチしたベンダーだったと言えます。

――TRANS-Account の導入にあたって苦労した点はありますか?

茂見■  Jo Tankers A/S とTokyo Marine Asia Pte Ltd の国も企業文化も異なる会社のプロジェクトでしたので、各社固有のビジネスルールを紐解き、統一化した勘定科目体系に落とし込む調整作業に苦労しました。
 会計上の観点からいくとTRANS-Account自体はスタンダードなシステム構成でしたので、その後はスムーズに導入できたと思っています。トレーニングについてもシンガポールと東京で実施し、運用になんとか漕ぎつけました。
 また私どもの場合、プロジェクト当初からIMOSとTRANS-Accountの同時稼動を目指しました。それぞれのシステム上でデータを二重入力していけば、データの不整合がどうしても起きてしまう可能性があり、そもそも両システムを入れるメリットが薄れ、ERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹業務システム)ではなくなってしまうと考えたからです。 稼動当初は、本来入力するべき項目を入力していないなどシステムの慣れの問題、想定外の取引パターンによるものなど様々な理由で送受信エラーが多発し、システムが安定稼働するまでにはかなり時間がかかりました。

――現在、両システムは具体的にどう連動しているのでしょうか。

茂見■  扱うデータは大きく会計取引データとマスターデータの2 種類があります。会計取引データの連動は、IMOSでは、配船や航海採算の見積りをする「Chartering」と動静管理を含め航海採算の実績を管理する「Operation」を行います。
 その一連の処理の中で、運賃や港費、燃料などの運航費のINVOICEを作成します。それが(システム上)承認されると、IMOSからTRANSAccountへデータが流れます。
 TRANS-Account側では、受け取ったINVOICEデータをいったん債権/ 債務として計上します。さらに、入金あるいは支払処理を行った結果が反対にTRANS-AccountからIMOSに送り返され、IMOS側に出納結果が反映される仕組みです。
 マスターデータの連動は、両システム上共通で使用するコード類(取引先、船、港)はIMOSからTRANS-Accountへ、一方、為替レートの情報はTRANS-AccountからIMOSへ取り込み、常に同期する仕組みにしています。いずれもデータの送受信は人手を介すことなくリアルタイムで行います。

システムの連携で効率的かつスピーディーな
海運業ERPを実現

――導入のメリットは、どんなところに感じていますか。

茂見■  システム導入にはトラブルが付き物という認識はありました。特に、異なるベンダーのシステム間の連動のトラブルは、データの送り側か受け側か、あるいは双方で解決する必要がありますが、TRANS-Account側が臨機応変に対応し、かなりのトラブルの元を吸収してくれたのではないかと感じています。
 外資系か日系のベンダーかという違いもあるかと思いますが、どちらも柔軟性を欠くシステムですと、先のようなトラブルがあるとたちまち頓挫してしまいます。IMOSとTRANS-Accountの同時稼働はエイ・アイ・エス社なくしては実現しなかったと考えています。
 システムもさることながら、そういったサポート面でも大きなメリットを感じています。異なるベンダーのパッケージシステムであっても、それぞれの得意分野を良いトコ取りして連携できさえすれば、効率的かつスピーディーに海運業ERPが実現し得ることを実感しています。

――今後期待する点などはありますか。

茂見■  今回、Milestone Chemical Tankers Pte. Ltd. としては、基本会計、債権・債務管理機能のみを導入しましたが、Tokyo Marin Asia Pte Ltd としては、TRANS-Accountの固定資産管理や借入金管理など、その他の管理システムにも興味を持っています。エイ・アイ・エス社のサポート体制の充実は今回の導入で確信しておりますが、海外に本社を持つ当社としては、英語ベースでのコミュニケーションが前提のため、システムマニュアルの充実等ソフト面の英語化対応によってさらなるGlobalサポート体制が整うことを願います。■

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